私は新米航海士なのですが、船内で撮影した映像を友人にラインで送りました。そのことで、会社から厳しく業務指導されたのですが、どうしてでしょうか?

【ご回答】

内容によると思います。

船内でパーティーをしたりした映像程度であれば問題無いですが、船の保安に関わる事や、積荷関係の映像を外部に送ったなら指導で済んで良かったと思いましょう。

会社がSMSマニュアルへ情報に関する事柄についても色々と書いていますが、会社が決めたルール以前に一般社会の認識として、保安に関わる事柄を外部に漏らしたのであればやっている事はスパイ、工作員と同じです。

また、保安についてであれば岸壁も含まれます。

各国各港、国際保安条約で厳重に取り締まりをしていますので写真を撮ったり不審な行動をしていると連行されますので注意して下さい。

実際私が乗船中に新人が不審な行動を取り、保安官が深夜に10名ほど本船へ事情聴取しに来たという事例があります。

稀ですが、有事の際にミサイルを撮影してどこに落ちたか、被害状況が分かるようなものを流出させれば被害国に対するスパイ行為と見なされる事も十分あり得ますので、船内外問わず保安に関わる事柄については慎重になるべきです。

積荷関係であればお客様の情報を外部に漏らしたということで顧客情報流出となります。

度々ニュースで顧客情報流出事故について取り上げられていますが、自分がその当事者になり得るという事を心しておくべきです。

信頼する一人の友人だけに送ったつもりの映像が次々と拡散していく事例は世の中に溢れています。弊社管理船でも以前、船長が貨物である新車の写真を妻に送り、その写真が拡散してしまい当該船長が再雇用の対象から外されたケースがあったそうです。                                                 友人に近況を知らせたいのであれば最悪、拡散しても問題ない自室、メスルームや暴露甲板までに済ませましょう。

その他の船内箇所は全て航行、保安、積荷に関わるので自制すべきです。

乗船中は世間から隔離され、現場仕事をしているので意識が薄れがちですが、貿易の最先端で働いているため全てに厳重なルールが敷かれており、万が一自分のせいで問題が起こってしまったら自分だけでは、船だけでは、はたまた自社だけでは責任の取りようがない事態に簡単になってしまうという事を念頭において働きましょう。

補足:弊社船舶は石油ターミナルに出入りする事はありませんが、石油ターミナル等の危険物を取り扱うターミナルでは保安上の理由(テロ対策)や企業の持つ特許技術・占有技術・固有技術の外部漏洩を防ぐためにも写真や映像の撮影が禁止されている場合のほうが多いです。仮にSNS等にあげられた画像や映像が、傭船契約上の荷主等に確認された場合は、最悪契約の打ち切りや裁判問題に発展する可能性も否定出来ません。
また乗船中の船が事故に遭遇した場合を撮影した映像などでは、相手側の船名・損傷の程度・相手側の乗組員の顔などプライバシーに関わる内容が含まれる可能性が大きく、それらを撮影者が外部に流していいか悪いかの判断は乗組員個人では出来かねると思います。以上の事から、軽はずみに映像を外部流出させた場合、個々の問題ではなく貨物の輸送ビジネスと会社自体の信頼を失うという大きな問題に直結するという事を船乗りであれば認識しておくべきです。