原油高と為替の複雑な現実
円高圧力と円安圧力が同時に働く局面
ホルムズ海峡の閉鎖による原油高は、高市政権が実施したガソリンや軽油などの暫定税率の廃止によるインフレ抑制効果を相殺してしまう可能性があります。その場合、政府はエネルギー価格に補助金を出し、短期的に価格の抑制に努めることになると思います。
一方で、原油高をきっかけに賃金や需要を通じたインフレが定着するおそれがあると日本銀行が判断すれば、短期金利を引き上げて物価上昇圧力を抑制しようとすると思います。そして、その利上げは円高方向への圧力として働き得るでしょう。
しかし同時に、高い原油を購入するためには円を売ってより多くのドルを調達する必要が生じるため、円のアウトフローが増大し、これは逆に円安方向への圧力となります。
このように、原油高局面では円高要因と円安要因が同時に作用し、為替の動きは単一の原因では説明できません。為替は市場で形成される以上、単純な因果関係で円高か円安かを断じる議論は現実を見誤らせると思います。また、通貨の高低だけをもって国力を論じる人が散見されますが短絡的だと思います。原油高という外生的ショックに直面する今こそ、為替の水準そのものよりも、その背後で働く複合的な力学を冷静に見極める姿勢が必要な気がします。
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